pixivに投稿したものからTwitterログまで。
【*pixiv +Twitterログ】無印はsiteのみ。左の記号が目印。今後の予定は【予定表】を参考にお願いします。
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年に一回訪れる、東方家の特別な日。
その日はいつもと家の中の雰囲気が違っていた。
朝一番の日課である髪型をバッチリと決めた俺がキッチンへとやってくると
普段は俺より早く出勤する筈のお袋がいて、
しかも滅多に着けないエプロン姿で朝飯を用意してくれている。
「おはよう、仗助~今日もカッコ良くキマッてるじゃない//」
「お、おう、ありがとう…//;」
見慣れている筈の俺のリーゼントを満面の笑顔で褒めたお袋は
いつもより豪勢な朝食の並んだテーブルへ最後の一品を添え、遅刻するからさっさと食べろと急かす。
白米に焼き魚、味噌汁に納豆、卵焼き、香の物などなどなど…二人分にしたって多過ぎる品目、
いくら食べ盛りの仗助くんだって朝からこんなに食えるのかといわれりゃ無理かもしれない。
でも折角の手料理が朝から食べられるんだ、有難くいただこう。
「おフクロ、今日仕事どうしたんだ、休み…なワケ無いよな、金曜だし」
「年に一回の有給休暇、今日は特別な日だからね…//」
いただきますの後、目に鮮やかな卵焼きに箸を伸ばしながら理由を聞いてみると
向かいに座るお袋は味噌汁を片手に笑顔を変えず答えた。
普段、男勝りで俺だって押し負かしそうな迫力が今日はどことなく控えめに思える。
控えめというか…この上もなく機嫌がいいのだ。
「あぁ~年に一回の恒例行事か…
前々から聞こうと思ってたんだけどよぉー今日って一体何の日なワケ?」
「あら、言ってなかったっけ、今日はアンタのお父さんの誕生日よ…//」
お袋の言葉に米を食っていた箸を噛み違えそうになった。
聞いてない、聞いてない、全然知らなかった、今日がジジイの誕生日だって!?
年に一回、東方家では一日お袋が有給を取って家にいる日がある。
今まで理由らしいことも聞いてみもしなかったが、まさかジジイの誕生日だったなんて思ってもみなかった。
ゴクリ、としっかり喉を鳴らしながら米を飲み込んだ俺はできるだけ平然を装うように
次のおかずへと箸を伸ばしてみせたが、どうやら遅かったようだ。
「なぁ~に仗助、今、動揺したでしょ?」
「し、してねぇーよっ…大体、あったことも無い親父の誕生日だって言われてもピンとこねぇーし…」
本当は会ったこともあって、話もしたけれどお袋には言っていない。
色々と複雑な事情があるってことは、以前に承太郎さんを通して聞いていた。
多分俺がジジイに会ったと話しても、この人はなんら変わらないだろうと思うけれども、
心のどこかで言ってはいけないような気がしてならなくて、俺なりに感じている
踏み込んではいけない領域みたいなのがそこにはあるように思えたからだ。
「フフ…母親に隠し事なんて100年早いのよ、まぁーアンタの言うことも最もだけどねぇ」
そう言うとお袋は箸を置いて、俺の顔をまじまじと眺め始めた。
気にしないように食事を続けるも、ふと視線を上げれば目が合ってどうしても動きが止まっちまう。
何?と視線だけで俺が聞くと、お袋は溜息の後、静かに口を開いた。
「ん~…今、物凄く幸せだなってしみじみ思ったの。
実はね、アンタのお父さんとは誕生日も一緒に過ごしたことも無いし、贈り物もしたことがないの。
たけど誕生日の日にはこうして私なりに彼をお祝いしようって勝手に決めたのよ、
一生に一人出逢えた愛してる人の誕生日だもん、私だって何かしたいじゃない?
私がジョセフと一緒にいた時間は一生の間では短かったかも知れないけれど、時間じゃ計れないくらいとっても幸せだった。
その証拠が今目の前で元気に私の作った御飯食べてるんだから間違いじゃない…美味いか、仗助//?」
おいジジイ、聞いてるか…お前スゲー幸せもんなんだぞ、コンチクショー!!
俺が知っているだけで10年、お袋は毎年こうやってアンタの誕生日を祝っている。
主役のいないバースデーなのに、こんなにあったかくて幸せな気持ちになれちまうんだ。
これが人の思いってヤツなんだろうな、遠く離れていても何年経っても変わらない愛の形、
今日ばかりは歯の浮くようなセリフだって許せるぞ、俺は。
「不味い…ワケ、ねぇーだろぉー…//」
「素直じゃないんだから、ほらほらもっと食べろ食べろ…っ//!」
「んなに食えねーよっ…//;」
お袋の惚気話を聴きつつ、結局俺は出された朝食をキレイにたいらげ
流石に無理したかも…と、苦しい腹を抱えながら学校へと向かった。
ジジイの話をするお袋の顔に、未だ恋してんだと恥ずかげも無く思えた登校時間、
ここ数年で一番幸せそうな笑顔だったな…と、思い返していた授業中、
帰ったらきっと夕食も凄いことになってんだろうなぁー…と思った昼休み、
気が付けば、俺にとってなんでも無い今日一日がとても幸せなものに思えてきた。
お袋からの幸せのお裾分…さすが俺の母親、グレートだぜ。
ならば、この貰った幸せを俺も大切な人に分けてあげたい、そう思った。
ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…
ガチャリ…ッ
「なんだ、今日来るとは言ってなかったじゃあないか、仗助」
放課後、カフェ・ドゥ・マゴで適当に見繕ったケーキを片手に
俺は見慣れた家のベルを三度鳴らした。
合図に気が付いたのか、たまたま手が空いていたのか知れないが
鍵が外れ、ゆっくりと扉が開かれると、この家の主である岸辺露伴が姿をみせた。
「いや、来る予定は無かったんスけど、ちょこっと届けものがあったんで…」
「僕はお前に何も頼んじゃいないが…?」
「別に頼まれものとかじゃあ無ぇーっスよ、ハイ、これ。
俺好みチョイスなんで文句言わないで下さいよぉ?」
何やら怪しんでいる様子の露伴に空いている片手で違うと答え、俺は持っていたデザート箱を差し出した。
恐る恐る箱を受け取り、中身を確認した露伴はますます怪しとばかりに俺を凝視する。
一応、これでもアンタの恋人なんですけどね、そんなに俺って信用ないのか…//;
「どういう風の吹き回しだ、お前の場合なら大体オーソンの肉まんだろ。
ドゥ・マゴのケーキなんて小洒落たモノを…熱でもあるのか?」
「幸せのお裾分が肉まんじゃカッコつかないっしょ、黙って貰ってくれりゃイイんですよ」
「なんだよソレ、いつにも増して変な奴だなぁ…//;」
「変で結構っスよ、露伴が受け取ってくれれば俺は満足っスから」
箱の中身と俺の顔を交互に見比べていた露伴だったが
まぁ、有難く頂いてやるよ、と、いつもの調子の答えが聞こえ
俺も目的が達成出来た事に満足した。
なんでも無い日なんて無い、毎日が誰かの幸せな日。
今日はそれを少し分けて貰ったから、俺も誰かに分けたくなった。
家族の笑顔、大切な人の笑顔を見れば俺だって自然と幸せな気持ちになれるんだ。
この機会をくれた遠く離れた地にいる親父に
ありがとう、と、初めてのハッピーバースデイを込めて。。。
~END~
――――――――――――――――
ジョセフ誕生日に書いたジョセフ&朋子さん+仗助露伴。
ジョジョに登場する男女カップリングも大好きな私としては
朋子さんのお話が書けて満足です(*´∀`*)
ジョセフ幸せ者だなホントに…。
その日はいつもと家の中の雰囲気が違っていた。
朝一番の日課である髪型をバッチリと決めた俺がキッチンへとやってくると
普段は俺より早く出勤する筈のお袋がいて、
しかも滅多に着けないエプロン姿で朝飯を用意してくれている。
「おはよう、仗助~今日もカッコ良くキマッてるじゃない//」
「お、おう、ありがとう…//;」
見慣れている筈の俺のリーゼントを満面の笑顔で褒めたお袋は
いつもより豪勢な朝食の並んだテーブルへ最後の一品を添え、遅刻するからさっさと食べろと急かす。
白米に焼き魚、味噌汁に納豆、卵焼き、香の物などなどなど…二人分にしたって多過ぎる品目、
いくら食べ盛りの仗助くんだって朝からこんなに食えるのかといわれりゃ無理かもしれない。
でも折角の手料理が朝から食べられるんだ、有難くいただこう。
「おフクロ、今日仕事どうしたんだ、休み…なワケ無いよな、金曜だし」
「年に一回の有給休暇、今日は特別な日だからね…//」
いただきますの後、目に鮮やかな卵焼きに箸を伸ばしながら理由を聞いてみると
向かいに座るお袋は味噌汁を片手に笑顔を変えず答えた。
普段、男勝りで俺だって押し負かしそうな迫力が今日はどことなく控えめに思える。
控えめというか…この上もなく機嫌がいいのだ。
「あぁ~年に一回の恒例行事か…
前々から聞こうと思ってたんだけどよぉー今日って一体何の日なワケ?」
「あら、言ってなかったっけ、今日はアンタのお父さんの誕生日よ…//」
お袋の言葉に米を食っていた箸を噛み違えそうになった。
聞いてない、聞いてない、全然知らなかった、今日がジジイの誕生日だって!?
年に一回、東方家では一日お袋が有給を取って家にいる日がある。
今まで理由らしいことも聞いてみもしなかったが、まさかジジイの誕生日だったなんて思ってもみなかった。
ゴクリ、としっかり喉を鳴らしながら米を飲み込んだ俺はできるだけ平然を装うように
次のおかずへと箸を伸ばしてみせたが、どうやら遅かったようだ。
「なぁ~に仗助、今、動揺したでしょ?」
「し、してねぇーよっ…大体、あったことも無い親父の誕生日だって言われてもピンとこねぇーし…」
本当は会ったこともあって、話もしたけれどお袋には言っていない。
色々と複雑な事情があるってことは、以前に承太郎さんを通して聞いていた。
多分俺がジジイに会ったと話しても、この人はなんら変わらないだろうと思うけれども、
心のどこかで言ってはいけないような気がしてならなくて、俺なりに感じている
踏み込んではいけない領域みたいなのがそこにはあるように思えたからだ。
「フフ…母親に隠し事なんて100年早いのよ、まぁーアンタの言うことも最もだけどねぇ」
そう言うとお袋は箸を置いて、俺の顔をまじまじと眺め始めた。
気にしないように食事を続けるも、ふと視線を上げれば目が合ってどうしても動きが止まっちまう。
何?と視線だけで俺が聞くと、お袋は溜息の後、静かに口を開いた。
「ん~…今、物凄く幸せだなってしみじみ思ったの。
実はね、アンタのお父さんとは誕生日も一緒に過ごしたことも無いし、贈り物もしたことがないの。
たけど誕生日の日にはこうして私なりに彼をお祝いしようって勝手に決めたのよ、
一生に一人出逢えた愛してる人の誕生日だもん、私だって何かしたいじゃない?
私がジョセフと一緒にいた時間は一生の間では短かったかも知れないけれど、時間じゃ計れないくらいとっても幸せだった。
その証拠が今目の前で元気に私の作った御飯食べてるんだから間違いじゃない…美味いか、仗助//?」
おいジジイ、聞いてるか…お前スゲー幸せもんなんだぞ、コンチクショー!!
俺が知っているだけで10年、お袋は毎年こうやってアンタの誕生日を祝っている。
主役のいないバースデーなのに、こんなにあったかくて幸せな気持ちになれちまうんだ。
これが人の思いってヤツなんだろうな、遠く離れていても何年経っても変わらない愛の形、
今日ばかりは歯の浮くようなセリフだって許せるぞ、俺は。
「不味い…ワケ、ねぇーだろぉー…//」
「素直じゃないんだから、ほらほらもっと食べろ食べろ…っ//!」
「んなに食えねーよっ…//;」
お袋の惚気話を聴きつつ、結局俺は出された朝食をキレイにたいらげ
流石に無理したかも…と、苦しい腹を抱えながら学校へと向かった。
ジジイの話をするお袋の顔に、未だ恋してんだと恥ずかげも無く思えた登校時間、
ここ数年で一番幸せそうな笑顔だったな…と、思い返していた授業中、
帰ったらきっと夕食も凄いことになってんだろうなぁー…と思った昼休み、
気が付けば、俺にとってなんでも無い今日一日がとても幸せなものに思えてきた。
お袋からの幸せのお裾分…さすが俺の母親、グレートだぜ。
ならば、この貰った幸せを俺も大切な人に分けてあげたい、そう思った。
ピンポーン…ピンポーン…ピンポーン…
ガチャリ…ッ
「なんだ、今日来るとは言ってなかったじゃあないか、仗助」
放課後、カフェ・ドゥ・マゴで適当に見繕ったケーキを片手に
俺は見慣れた家のベルを三度鳴らした。
合図に気が付いたのか、たまたま手が空いていたのか知れないが
鍵が外れ、ゆっくりと扉が開かれると、この家の主である岸辺露伴が姿をみせた。
「いや、来る予定は無かったんスけど、ちょこっと届けものがあったんで…」
「僕はお前に何も頼んじゃいないが…?」
「別に頼まれものとかじゃあ無ぇーっスよ、ハイ、これ。
俺好みチョイスなんで文句言わないで下さいよぉ?」
何やら怪しんでいる様子の露伴に空いている片手で違うと答え、俺は持っていたデザート箱を差し出した。
恐る恐る箱を受け取り、中身を確認した露伴はますます怪しとばかりに俺を凝視する。
一応、これでもアンタの恋人なんですけどね、そんなに俺って信用ないのか…//;
「どういう風の吹き回しだ、お前の場合なら大体オーソンの肉まんだろ。
ドゥ・マゴのケーキなんて小洒落たモノを…熱でもあるのか?」
「幸せのお裾分が肉まんじゃカッコつかないっしょ、黙って貰ってくれりゃイイんですよ」
「なんだよソレ、いつにも増して変な奴だなぁ…//;」
「変で結構っスよ、露伴が受け取ってくれれば俺は満足っスから」
箱の中身と俺の顔を交互に見比べていた露伴だったが
まぁ、有難く頂いてやるよ、と、いつもの調子の答えが聞こえ
俺も目的が達成出来た事に満足した。
なんでも無い日なんて無い、毎日が誰かの幸せな日。
今日はそれを少し分けて貰ったから、俺も誰かに分けたくなった。
家族の笑顔、大切な人の笑顔を見れば俺だって自然と幸せな気持ちになれるんだ。
この機会をくれた遠く離れた地にいる親父に
ありがとう、と、初めてのハッピーバースデイを込めて。。。
~END~
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ジョセフ誕生日に書いたジョセフ&朋子さん+仗助露伴。
ジョジョに登場する男女カップリングも大好きな私としては
朋子さんのお話が書けて満足です(*´∀`*)
ジョセフ幸せ者だなホントに…。
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