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【*pixiv +Twitterログ】無印はsiteのみ。左の記号が目印。今後の予定は【予定表】を参考にお願いします。
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日が一日変わるだけだってのに年末になると世間は慌ただしいもので
クリスマスという派手なイベントが終わったかと思えば、休む間も無しに正月の準備。
多宗教、無信仰などと日本人は言われるが誰しもお祭りや行事は好きなもんさ。
高校卒業後、警察官になるべく大学進学の道を選んだ俺にとっては
思いの外結構大変な一年で、環境の変化とか新たな学びの場に我武者羅になっていた。
馴染みになった億泰も康一もいない、ゼロからのスタートは寂しくもあり新鮮でもあった。
新しい学校、新しい友達、新しい勉強…悩んでいる暇なんて無いくらいに目まぐるしいもので
寂しがる暇も無くてちょうど良かったんだと日々自分に言い聞かせていた。
そんな年の瀬も押し迫った年末の帰省ラッシュに巻き込まれながら
俺は久しぶりに実家に帰ってくる事が出来た。
何せ今まで帰省ラッシュなんて関係無かったもんだからこんなに人混む杜王町の駅前は初めて。
荷物を詰め込んだスポーツバックを片手に玄関先で深呼吸をする、やっぱり若干人に酔ったかもしれない。
「ただいまぁ~、仗助君が帰ってきましたよぉー」
ガチャリ、と玄関のドアを引き開け、帰りの挨拶をすれば
俺に気が付いたお袋がリビングからスリッパを鳴らして走ってくるのがわかった。
「おかえり仗助ーっ、思ったより早かったじゃないの」
トレードマークのカチューシャにマグカップを片手にしたお袋が
満面の笑顔で出迎えてくれた事に、俺は家に帰ってきたんだと改めて実感を覚えた。
靴を脱ぎ揃え、室内では不要になったマフラーを緩めると首筋は少し汗ばんでいた。
「ちょうどこっち方面に来る同級生に乗っけてもらえたんだ、いやぁ~助かったぜ、マジに」
「へぇ~ラッキーだったわね、ちゃんと人付き合いやれてるみたいだし母さんも安心だわ」
「当然だろ、なぁ~んも心配しらねぇーよ…//」
ニコリと首を傾けるお袋に笑顔で答えると、ポンと一つ肩を叩かれた。
久しぶりに踏み入れる東方家の感触は温かいもので、
離れて初めて気がつく家の匂いを嗅げば尚更、安心感に満たされた胸にじんわりと懐かしさが押し寄せる。
部屋はそのままにしてあるからとお袋は言うと、またリビングへと戻って行った。
短い間だけど、またお世話になりますとリビングに消えた背中に思いながら
俺は見慣れた階段を上がり二階の自分の部屋へと荷物を下ろしに向かった。
お袋の言う通り、高校時代まで使っていた自分の部屋は長い間、主が不在にも関わらず
綺麗に掃除されていて、当時より綺麗な姿で俺を出迎えてくれた。
カーテンの開けられた窓外の風景は曇り空、気温も低かったし夜には雪が降るかもしれない。
荷物を適当に下ろし、マットレスのみのベッドに腰を下ろすと
そのまま身体を倒して思いっきり両腕を広げて身体を伸ばしてみせた。
「あぁ~・・・っ……帰ってきたんだなぁ~…」
当たり前のことなのだが、やはり実感すると口に出してしまう。
荷物とコートで縮こまった身体は漸く開放され、二、三度の背伸びで血液が回り出したのか
だんだんと感覚が戻りつつあった。視界には見慣れた天井が映っていて、
所々には、ごく小さな穴や剥がしそこねたセロテープの痕が見られた。
そう言えば家を出る前の日に貼っていたプリンスのポスターを数枚剥がしたんだっけなぁ…。
限定アルバムを買った時に、店員さんが内緒でポスターくれたのがすげー嬉しくて、
いつも見えるところに貼ろうって思って…と、次々に懐かしい記憶が押し寄せてきたが
俺は大きく息を吸い、蘇るそいつ等を絡めるように溜めて、ゆっくりと息を吐いた。
「……やっぱ、帰ってくるとダメだな…」
自分の持っている特殊な力が『スタンド』と呼ばれるものだと知った高校一年。
そいつは様々な仲間、或いは敵と引かれ合い、俺の人生に大きな出会いを生み出した。
それこそ、あの頃は毎日が目まぐるしい事の連続で退屈を感じる暇も無く
何かしらの出来事が俺を楽しませてくれていたんだ。
承太郎さん、康一、億泰、ジジィ、ミキタカ、噴上、由花子に鈴美さん、
それから…というところで、俺は目を閉じて言葉を飲み込んだ。
これ以上口にするのは虚しくなるだけだろう、と、
半開きになった思い出の箱に手をかけるように俺は呟いた。
「…もう高校生だった俺はいない…あの頃の仗助はもういない」
この呪文を唱える度に、胸が少しだけ重みを感じているのは自覚していた。
大学進学が決まり、杜王町を離れると告げた時の、あの人の言葉が忘れられずにいるからだ。
『そうか…』
岸辺露伴、世間的に言えば超のつく有名人、売れっ子天才漫画家。
本人はこう呼ばれるのがあまり好きでは無いのも知っている。
当時、俺達は傍からみれば犬猿の仲にしか見えなかっただろうが実際は全くの逆。
こんなに人を好きになる事があるのかってくらい俺は露伴が好きで、意外かも知れないが付き合っていた。
漫画の才能は天才的でアイディアも斬新だと世間的には言われているが
当の本人は感情を表現するのが不得意らしく、はじめはどうして取っ付きにくかったっけ。
『もっと喜んでも良いだろうだと、お前…相変わらずまだまだガキだな、仗助』
あの日も大学合格を一番に知らせたくて露伴の家へとやってきた俺が結果を報告すると
仕事中のペンも休めずに背中で声が返ってくるばかりだった。
少しは喜んでくれるだろうと期待していた俺の意に反し、その態度は素っ気無く冷たかった。
『どうしてそんな事言うかって、だからお前はガキだって言ってるんだっ…
悪いが僕はそんなお人好しじゃあ無い、用事が済んだら出てってくれ、仕事の邪魔だ。』
俺の期待する反応は無く、逆に裏切られたショックも大きかったが、
納得の出来ない怒りが先立って、何かを怒鳴って露伴の家を飛び出しちまったんだ。
少しでも何故の疑問を持てばこうはならなかったんじゃないかと今更後悔しても遅いのは分かってる。
事実物語るようにそれ以来、俺からも露伴からも互いに連絡は一切無かった。
一番最悪な自然消滅というカタチで俺達の関係は終わりを迎えたらしかった。
突っ走ってた思い出達は心の中で眠らせて置くのが最良なのだ、
一年此処を離れて少しだけわかった気がした筈じゃないかと自分に言い聞かせると
ベッドから身体を起こして肩を落とした。
窓外は曇り空、薄暗さから多分夕方辺りだろうか。
部屋の掃除はしてくれていても、流石に時計の電池までは気が回らなかったらしく
目覚まし時計も壁掛け時計も電池は切れていて針は止まっていた。
ポケットから携帯を取り出して画面を見れば16:30ジャスト。
表示からメールがきていることに気が付き、指先の操作で画面を開くと
送信者【康一】、旧友からのメシの誘いだった。
年末帰るとは連絡していたが、何日に帰るとまでは送っていなかったのに
相変わらずタイミングが良い奴だと笑みながら手早く返事を打ち、送信完了を確認した。
「さぁ~て、荷物片付けちまうか…あと電池買ってこねぇーとな」
手っ取り早く気を紛らわせるには荷解きは最適な作業だろうと考え、
床に置いた荷物へ手を伸ばしジッパーを引こうとした時、
お袋が一階から大声で俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、
それじゃこれはまた後でと俺は部屋を後にしたのだった。
……………………………………………
それから数日が経ち、いよいよ今日は大晦日という日。
先日、康一に誘われたメシの席には大体予想していたが億泰も来ており
俺の顔を見るなり、笑顔混じりに涙目になっちまったのには驚いた。
そういやコイツ感動屋だったなと俺は思いつつ、久しぶりの再会を喜んだ。
三人揃うのは久しぶりだとか、お互い全然変わってないなと、まるで同窓会のような会話で始まり
段取りのよい康一の手筈で年末の忙しい中、待ち時間も無く店に入ることが出来た。
そこからは飲んで食べて喋って飲んでの繰り返し、やはり顔を見ると次々に話は思いつくもので話題は尽きなかった。
夜22時を過ぎた頃、由花子と初詣の約束があるからとの康一の申し出でその場は解散となり
俺は夜に輝く街灯の中で帰路についた。
家に帰ると玄関の鍵は締まっており、いつもの場所(大半はポストの中)から合鍵を取り出し家に入った。
お袋は出かけたのかとスリッパも履かずに廊下を歩き、リビングの電気を付けると
テーブルに一枚の書置きが目についた。
「『近所の奥さん達と初詣に行ってきます、仗助も戸締りして良いお年を~』
ヘイヘイ、了解しましたよー」
事の次第を理解した俺はメモを置き、着ていたコートを脱いでソファーへと投げた。
とりあえずとテレビを付けてはみたが、年末特番や今年一年の重大ニュースなど
お決まりの番組しかやっておらず、無いよりマシだぐらいで流しておくことにした。
コートを着たままならDVDでも借りに行こうとも思ったが、もう脱いじまったし
今から行っても良いものは残っていないだろうと諦め、風呂にでも入ろうとバスルームへ向かった。
数十分後、温まった身体でリビングに戻ってくると時間は23:35分…年明けまで30分を切っている。
「ぁ~…お袋何時になるかわかんねぇーしなぁ~・・・」
夜風に当り、風呂にも入ったおかげかすっかりと酔いは冷めてしまい
かと言って眠ろうにも何だか勿体無い気がするので、もう一度飲み直そうとキッチンへと向かった。
お袋も結構飲める方だ、しかも飲む酒も強めのものが多い。
床下に備え付けられた酒専用の貯蔵スペースには俺が知っている頃よりも本数は増えていて
琥珀色のブランデーやら色鮮やかなリキュールが所狭しと保管されていた。
これなら少し頂戴してもバレないよなぁ~と思いつつ、適当に漁っていると
一本、手書きのメモが貼られたビンを見つけて取り上げた。
「あっ…これ…」
見覚えのある文字、それは紛れも無く自分の手書きで貼られたものだった。
750mlの茶色い瓶、ずっしりと手に重く、口元が液こぼれで固まったカルアリキュール…
誕生日に露伴から初めてプレゼントされたもの、まだ残ってたのか…。
『最初っからイイ酒なんて生意気なんだよ、ガキはこれくらいから始めろ』
露伴の家へ泊まりに行くと俺はノンアル、露伴はブランデーがお決まりで晩酌に付き合わされていた。
未成年だったが飲めなくは無いと露伴に言うと、面白半分で渡されたブランデーが
あまりに強くて翌日の頭痛を黙っていたのがバレた時は散々笑われた事はよく覚えている。
よく、いい酒は酔わないとは言うがあれは程度に寄るらしい…。
『こんなんで酒が嫌いになられたら僕のせいみたいじゃあないか、不愉快だね』
ブランデーと同じくらいキッつい言葉とは裏腹に差し出されたのが
露伴自ら作ってくれたカルアミルク、アルコールは感じるのにバランスも良くてとても飲みやすかった。
その日の晩は露伴もカルアで付き合ってくれたんだった、確かコーヒーだったよな。
今は大半、何でも飲めるようになっちまったせいか久しくカルアなんて飲んで無い。
たまにはいいかとキャップに手をかけて捻ると手にリキュールがくっつきベタベタした。
キャップを外すと、自分の周りに甘ったるく懐かしいコーヒーの香りが漂う中で
グラスに注ぐと中身は思いの外入っていなかった。
「あぁ…そうだ、あの日に全部飲んでやろうって滅茶苦茶飲みまくったんだっけ…//;」
露伴とケンカした日、何もかもを処分してやろうと思った俺がむかっ腹を立てながら家に帰ると
俺が持っている露伴のものといったらこのカルアぐらいだったのだ。
大切に飲んでいたから中身はまだ全然残っていて、捨ててしまうのは勿体無いし、
だったらいっそ空にしてやろうとオーソンで牛乳2本買って来たまでは良かったんだ。
結果はあと一杯分を残して気分が悪くなりギブ、吐きはしなかったハズだ…多分。
リキュールの入ったグラスを片手に冷蔵庫を開くと、
ポケットに差し込まれている開封済みの牛乳パックが目に入った。
残っているリキュールの量も適当だし、だいたいこのくらいだろうと牛乳を注ぎ
スプーンで軽く混ぜ合わせるとミルクの白が色づいてほのかに茶色を浮かばせた。
一口飲むと、それはやっぱり甘くて今の自分には合わない気がした。
『アルコールの香るコーヒー牛乳だろ…こんなんでイイ気分になれるなんて
仗助、お前はまだまだ子供で可愛いところがあるじゃあないか…//』
酔いの入った露伴は機嫌が良い時の方が多かった。
普段は見せない緩められた笑顔と赤みのさした頬、多くなった口数。
絡み酒まではいかなくても、二人だけで賑やかな晩酌をしていた。
どっちが可愛いんだよと思いながら飲んでいたカルアミルクは他ならぬ思い出の味だった。
『さっさと大人になれよ、気兼ねなく酒が飲める年齢まで僕は待っていてやるぜ、仗助』
「露伴…」
このカルアと同じように、久しぶりに口にした名前に鳥肌が立った。
リビングに戻れば暖かいし、座り心地の良いソファーもあるっていうのに
俺は寒いキッチンの片隅に腰を下ろしたまま、両手にグラスを握って思い出に浸っていた。
甘くてなかなか進まないグラスの中身を見つめていても、量が減るハズもない。
あの頃の思い出が、まだそこに浮かんでいるようで
飲み干してしまえば空にできるかって、そんなワケもない。
嫌いじゃない、嫌いになれない、本当に大好きだったんだ。
つけっぱなしにしたテレビから、年明けまで残り10分を切ったとのアナウンス。
沸き立つ歓声や華やかさを煽る音楽とナレーションを耳にした。
新しい年を迎える準備ってわけじゃないけれど、
今こうして懐かしい思い出が素直になれと背中を押してくれている気がする。
寝間着ジャージのポケットから携帯を取り出し、久しく選んでいない名前をクリックした。
番号が変わっているかもしれない、当然、拒否されてるかもしれない。
でも結果がどうであれ、やらないよりは良いと通話ボタンをゆっくりと押した。
岸辺露伴、出てくれるだろうか…。
1コール、2コール、3コールと心の中で唱えていると不意に音が切れ
電話口から数秒の無言応答の後、『…はい』と一言だけ声がした。
「もしもし…そう、俺、久しぶりっスね…」
それは紛れも無く、懐かしく耳心地の良い露伴の声で
たった一声聞いただけで、途端に胸に溢れるものを感じずにはいられなかった。
押さえつけて、無視して、見ないフリして忘れようとまでしていたっていうのに心底では無理だった。
声を聞いたら全てが崩れ落ちた変わりに現れた例えようのない安心感といったら無い。
「…そう、正月休みでこっち帰って来てるんスよ…」
相手の事もよく考えずに突っ走っていたあの頃は
好きだという思いだけで過ごしていただけだったんだ。
ちゃんと将来を考えているつもりでいても、風に吹かれれば消えてしまいそうなほど曖昧で不明瞭。
一人、杜王を離れて現実が見えて来た今、傍にいてくれた露伴の存在が俺にとって
どれだけ大切な存在だったかを、この身に感じている。
今からでも、あの日を償うには遅くないだろうか。
「…どうしたんスか、何だか鼻声っスよ?」
電話口で聞こえる声はエコーではないくぐもった声に変わっていた。
きっと泣いてる、誤魔化すのが下手なのは変わってないなと思いながら
知らないフリで様子を聞くと、様子を繕う罵声が響いた。
あの頃の俺は確かにいない、高校生だった東方仗助はもういない。
でも、あの頃と同じように今の俺も、かわらずに露伴を想っている。
「…ねぇ、露伴、今からソッチ、行ってイイ?」
もう一度、この夜から はじめよう。
~END~
……………………………
ケンカ別れしてしまった後の仗助君でした。
以前からお酒の話を書きたかったので、漸く念願叶いましたよ(*´д`*)
御飯だったりお酒だったりの描写が好きで、どこかしらには入れたいなと
お話書きながらいつも思ってます。
ちょっと仗助君女々しくなってしまったかなとは思いつつ
離れて初めて気がつくこともある、そばにいるだけじゃ大切さは分からない。
露伴先生だって本当は寂しいんだぞ?
書いていて思いますが、また再会すると分かっていても
別れ話を書くのは辛かったです。私自身、結末がどうであれ
二人が幸せならそれに越したことはないと考えています。
次はパロ進めつつ、承花かDIO花書ければな~と。
それでは、今年一年素敵なJOJOライフを(*´∀`*)
ありがとうございました。
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