pixivに投稿したものからTwitterログまで。
【*pixiv +Twitterログ】無印はsiteのみ。左の記号が目印。今後の予定は【予定表】を参考にお願いします。

走れ、届け、一秒でも早く…



『もしもし、ちゃんと聴こえてますか…?//』

『馬鹿がバカ声を出すんじゃあ無い、…聴こえている』


電話口で僕は溜息をついて答えた。
原因は言うまでもなく僕と会話をしているコイツ、
つい今し方、キッチンへ換えの紅茶を淹れようとした時、唐突に電話のベルが鳴り響いた。
仕事中なら無視する(正確には耳に入らない)ところだが、今夜はフリー。
ポットを火にかけた後、数回目の呼出音に手を掛け応答すると
返ってきたのはよく聞きなれたクソッタレの声だった。


「お前、今時間一体何時だと思ってるんだ」

『えぇ~…っと、日付は変わりましたね、多分』

曖昧な答えに僕が時計を見れば、日付が変わって既に一時間は経っている。


「親切心から時間を教えてやろう…夜中の1:13分だ、真夜中の1:13分…っ!!」

『なんで二回も繰り返したんスか;』

「極めて重要なことだからだ、クソッタレ」


コイツの部屋には時計も無いのか、
まぁ…あまり時間に正確な性格でもなさそうだとは思っていたが。
…言っておくが洒落じゃあないぞ。

「で、こんな真夜中にわざわざ僕に電話してきたくらいだ…余程の用事なんだろうな、え?」

苛立った声で聞き返すと、ゴソゴソっと電話先で何かが擦れる音が聴こえた。
大方ベッドの上で寝返りでも打ったんだろうさ、随分といい御身分だな。

『まぁまぁ…露伴は今、何してたんスか?
仕事中ってわけじゃないみたいっスけど』

「今日分の仕事は全て終わった。
読書中に紅茶が切れたから入れ直しのお湯を待っているところだ。
…なんで、僕がお前の質問に答えなきゃならないんだ、可笑しいだろう!?」

『なんで逆ギレしてんスか…;』

当たり前だろうがこのスカタン、一般的な人間の生活リズムならば
この時間は既に就寝しているか、自分の時間を有意義に過ごしている事だろう。
当然、僕もその一人だ。

お気に入りの紅茶を淹れ、眠る前に本を読む、清潔なシーツに肌触りの良い寝間着
全ては仕事の疲れを癒し安眠を得るための材料だ…と、言うのに
この掛かってきた電話のせいで台無しになっちまった。


「それで、お前の用事は何なんだ、母親とでもケンカしたのか?」

『いや、別に普通っスよ。今頃寝てると思います』

「それじゃあお前も寝ろ、じゃあな」

『わっ、っちょっちょタンマ、タンマ!!;;
本当の事言いますから切んないで下さいよ;』


そら見ろ、やっぱり何かあったんじゃあ無いか。

観念したのか電話先では大きく溜息をつく音が僕の耳を覆う。
溜息をつきたいのは僕の方だ…
零れそうになる言葉を呑み込むように俯き
椅子もない廊下に腰を下ろして壁に背を預けた。


『…星を見てたんスよ、今日わりと綺麗に見えるなーって』

「星、だって…?」

仗助の言葉に僕は顔を上げ、辺りに窓を探したが
一番近い窓はキッチンの曇ガラス、これじゃ星どころか外さえ見えない。

『寝っかなぁ~って電気消してベッドに入ったんスけど、
俺カーテン閉めるの忘れてて、そっから珍しくキレイな星空がみえたモンだから
つい起きちまった…そしたら寝られなくなったっつーワケ。』

「お前は何処までもガキだな…」

『ガキで結構っスよ…//;
でも、電話して正解だったみてぇーっスね、今まで本読んでたんしょ?
騙されたと思って空、見てみて下さいよ』


仗助の言葉に嘘は感じられなかった。
仕方無いとばかりに壁から身体を離し、
キッチンの窓を半分程開けて空を見上げて見た。


「あ…っ」

一番に飛び込んできたのは一筋の流星。
夜空を渡る船のように一つ、二つと、僕の視界を流れていく様は
実に美しく見えた。


『見えたっスか?ちょうど俺の上も流れていきましたよ…//』

「あぁ…確かに綺麗だな、久しぶりに夜空なんざぁ眺めたよ…。」

『これが俺が露伴に電話した理由っスよ、それじゃあ…』

「ぇ、あ、オイ、待て…っ」


僕が呼び止めるよりも早く、一歩的に電話は切られてしまい
後には虚しい電子音が繰り返されているばかり…
応答の無い受話器を握りながら、僕は星空を見上げながら
我慢していた溜息を深々とついた。

知ってるのかよ、クソッタレ。
僕は我儘なんだぞ、声なんかで満足出来ると思っているのか?
今度家に来たら、どんな我儘を言って困らせてやろうか…
お前が引き金を引いた、この、僕のどうしようもない衝動に
匹敵するくらいの事はしてもらおうじゃないか、でなければイーブンじゃあないだろう。

寝静まった街、一人の時間、こんな真夜中に電話してきやがって…
僕の都合なんざぁお構い無しにお前は心に唐突に上がり込んでくる。


声なんて聞いたら会いたくなっちまうだろう。


「クソッタレ仗助め…」


どうしようも無い自分自身の苛立ちを紛らわすように
ヘアーバンド越しに頭を掻いた、その時だった。


「なんスか…//?」


直ぐ近くで聴こえた仗助の声に耳を疑った。
確かに電話は切れている、ボタンも光っていない。
とうとう幻聴まで聞こえ出したかと右手で視界を覆うと、今度は笑い声が聴こえてきやがった。

「こっちっスよ、こっち」


そう呼ぶ声が直ぐ真下で聴こえ、覗き込んでみると
Tシャツに上着を羽織った仗助が此方を見上げていやがるじゃないか。

「お前…っ、いつから…っ;」

「ついさっき、そうっスね…露伴が星を見てる時には既に居ましたよ…//」

「さっきだとっ、だってお前は僕に電話…っ」


聞き返す僕に仗助がチラつかせてみせたのは携帯電話。
あぁ、電話は家からじゃあ無かったのか…そう納得しつつも何だか妙に騙された気分だ。
ニヤリと笑ってみせた仗助は腰を上げると僕の目の前までやってきた。


「電話してて、露伴の声聞いてたら
無性に会いたくなって来ちまいました、驚かせてスイマセン」

「あぁ…驚いたよ、僕としたことが情けない程にね…」


会いたいと願った頭上の星空には
偶然にも流星が流れたのだろうか


「まぁ…お湯も沸いたし、茶でも飲んでいけよ」


言いたいことは山ほどあった筈なのに、
それもコイツの笑顔を見たら全部が全部吹っ飛んでいっちまった。


「どーもっス」


あぁ、僕も相当コイツが好きらしい。


*終*


―――――――――――――――

後書


あの当時、携帯がまだこんなに
出回っていなかったんだよねと思いつつ書いたお話。
なので時間軸は現代テイストのIF。
恋する露伴先生が好きです、そしてお気づきかと思いますが
二人の日常を書いているのがとても楽しい^^。


スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。